新作の漫画は展開がどうなるかワクワクしますよね。
でもたまにはゆったりと、時代をこえても変わらない作品を味わってみるのはいかがでしょう。
私が子供の頃から何度も読んできた漫画「土曜日の絵本」を紹介します。
- 人との向き合い方に悩んでいる人
- 同じような毎日だと感じている人
- 子供のころのワクワクを思い出したい人
土曜日の絵本とは
川崎苑子さんによる、1980年に週刊マーガレットで連載していた作品です。
※現在は北村夏さんというペンネームで活動されています。
やわらかな絵柄と繊細な気持ちの表現が特徴です。
コミックスは全6巻、文庫版は全4巻の短編集です。
緑かおる風吹町に引っ越してきたミクちゃんは、もうすぐ小学生の6歳。
ある日パパとママがケンカ!
ママはお家を出て行ってしまいます。
悲しくてたまらないミクちゃんは、シロツメクサがいっぱいに咲いた野原へ。
そこで新しいお友達3人と出会います。
ミクちゃん、かすみちゃん、ミチルくん、ヘイちゃん
4人の友情や成長、人や自然とのふれあいを描いた絵本のような日常が始まります。
書籍版は絶版
コミックスの単行本と文庫版で出版されています。
しかし、もともと1980年の作品ということもあり、現在は絶版なんです。
手に入れるには中古品を探し回る必要があります。
電子書籍なら読める
紙での入手は難しい作品ですが、電子書籍ならすぐに読むことができます。
今の時代は本当にありがたいですよね。
土曜日の絵本の魅力
土曜日の絵本の魅力は、人や自然とのふれあいです。
せわしない毎日に忘れてしまいがちな気持ちが、たくさん詰まっています。
「みんなちがって、みんないい」が詰まっている
主役の4人はみんな得意なことも性格もバラバラです。
得意・よいところ | 苦手・ よくないところ |
|
ミクちゃん | 元気 運動神経バツグン リーダー気質 |
勉強嫌い すぐ手が出る 口が悪い |
かすみちゃん | 優しい 女の子らしい しっかり者 |
本音を言えない 人を優先しすぎ |
ミチルくん | オシャレ 器用 人のよい点を見つけるのが上手 |
お調子者 人よりデキると思っている |
ヘイちゃん | 頭がよい おっとり 謙虚 |
運動× 服のセンス× 引っ込み思案 |
よい所もよくない所も、みんなちがうからケンカをします。
でもみんなちがうから、新しい発見があります。
運動神経がいいのもお勉強ができるのも、そこに上下はないです。
大人も間違えることがある
この作品はパパママたちの失言やケンカも描かれています。
自分の都合を、さも「あなたのため」と話してしまったり。
相手の気持ちに気づかずに叱ってしまったり。
大人はドキっとしてしまうフレーズも多いです。
子供の繊細な心を感じられる
ママが出ていく経験のあるミクちゃんは、ママがいない日が続くと攻撃的に。
大好きなお家を引っ越したかすみちゃんは、我慢できずひとりで以前のお家に行ってしまいます。
口には出せないけれど、子供の心はとっても繊細だと気づかされます。
悲しいことや理不尽なことをこえて大人になっていく様子に涙が流れますよ。
自然のふれあいで感じる季節や自由の尊さ
風吹町は自然ゆたかな町です。
季節にあわせて木々はしげり、花は咲き、果物も実ります。
うつりゆく自然に身をまかせ、体を存分に動かし、「生きている」と感じるシーンも多く出てきます。
日常がきゅうくつに感じたときの自然のちからを感じられます。
子なし夫婦は読むときに注意
魅力の多い作品なので、大人ならどんな方にも読んでもらいたいです。
ですが、子供がいないことを受け入れられていないとつらいシーンもあります。
それくらいストレートでまぶしい作品なんです。
妊娠や出産の話が多い
ミクちゃんママに2人目ができたり、かすみちゃんママの出産エピソードもあります。
とくにミクちゃんママは妊婦さんの様子もよく出てきます。
パパママで妊娠を待ち望む光景を読むのはつらいかもしれません。
親子のふれあいシーンが多い
親子のふれあいやすれちがいも、この作品の魅力です。
子供の成長を願ったり、パパママへの「大好き」をつたえるシーンが多いです。
子供がいないことがつらい状態では、苦しくなってしまうと思います。
養子の家族が出てくる
養子というフレーズ自体、苦しく感じる方がいるかもしれません。
養子の親子が出る回はハッピーな終わり方ではありません。
ミクちゃんたちの成長と見れば印象的な回です。
でも養子に注目してしまうなら、読むのはまだ早いでしょう。
「子供がいたかも」という心情が出てくる
「もしあのときこうしていたら、子供がいたかも」という心情が出てきます。
発した登場人物のその後の気づきは、子なしとして必見です。
でも行き着く前に苦しくなるかもしれません。
子供のいない人生を受け入れられたと感じたときに、ゆっくり読んでみてください。
土曜日の絵本の好きな言葉
土曜日の絵本の中で私が好きな言葉を3つ紹介します。
気になる言葉があったら、ぜひ読んでみてじっくり味わってみてください。
あいかわらずヘイちゃんは
なんともセンスの悪いスタイルをしていますけれど
ミチルくんはもうなんにもいいませんだってね あの時 そばかすだらけのヘイちゃんの顔が
メンクイのミチルくんにもとってもきれいにみえたんですよ
このテストでわたし なにをみつけようとしたのだろう
なにがみつかるというのだろう
たとえばたとえば万一これで子どもの頭がはかれたとしても
それがなんだというのだろうたとえばヘイちゃんがミクちゃんの2倍頭がよかったとしても
ヘイちゃんひとりでは生きられない
あたりまえに助けをかりて
あたりまえに助けをかして
子どもはとっくに自然にやっているのにおとなはついこだわってしまう…
たかが人間の知恵の
ほんの一部分のよしあしに
たいていのことは遅すぎるってことはないんざますよ
生きてさえいればね
まとめ 大人に読んでもらいたい漫画「土曜日の絵本」
結婚、病気を経て、親のありがたみを知りました。
子どもを持てない悲しみを知り、友人からは子どもを育てる苦労も学びました。
その経験のあとに久しぶりに読んだ「土曜日の絵本」
涙がこぼれる場面が以前よりずっと増えました。
大人にこそ読んでもらいたい、心あたたまる作品です。
ミクちゃんたちといっしょに、生きることや人とのふれあいの大切さを思い出してみませんか?
最後まで読んでいただいてありがとうございました。
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